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お知らせ(詳細)

令和8年 日整連・整商連会長 年頭所感New

2026年01月01日



一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会
日本自動車整備商工組合連合会
会 長  喜 谷 辰 夫 



 新年あけましておめでとうございます。
 令和8年の新春を迎えるに当たり、所感の一端を述べ、新年のご挨拶とさせていただきます。

 世界の経済状況は、米国の関税政策が各国の経済に影響を及ぼす状況下において、景気は底堅い成長を維持しています。また、近年の世界情勢は、米国の保護主義政策の急進化、ロシアによるウクライナへの侵攻の長期化、中東情勢緊迫化など国家間対立が激しくなっており、地政学リスクの高まりが世界経済の景気後退の引き金となり得るおそれが懸念されています。

 我が国の経済に目を転じてみますと、民間企業設備投資や民間最終消費が底堅さを維持し、米国の関税影響が懸念された輸出も堅調に推移しており、基調として緩やかな景気回復が続いています。一方では、食料品などの身近な物の価格の上昇が続き、GDPの過半を占める個人消費の回復は、賃金・所得の伸びに比べて力強さを欠いた状況にあります。こうした中において、米国の関税措置は、日本経済を直接・間接的に下押しするリスクとなっています。日本経済にこうした逆風が吹く中、政府は、これまでのコストカット型経済から脱却し、デフレーションに後戻りせずに、民需主導の成長型経済への移行を確実なものにするため、令和7年6月に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針2025 ~「今日より明日はよくなる」と実感できる社会へ~』に基づき、持続的・安定的な物価上昇の下、物価高を上回る賃上げを定着させる環境整備として、適切な価格転嫁や生産性向上、経営基盤を強化する事業承継・M&Aを後押しするなどの施策を総動員し、現在及び将来の賃金・所得が継続的に増加を目標とする「賃上げを起点とした成長型経済」を実現させていくことが示されました。
 国内の景気は、各国の通商政策等の影響を受けて、世界経済が減速し、国内企業の収益なども下押しされる下で、緩和的な金融などが下支え要因となるものの、成長率は鈍化するとみられています。

 自動車については、脱炭素や環境に配慮したエコカー(自然環境保全車)が普及し、また、地方における人口減少に伴う交通手段の確保や交通事故の削減を図るため、先進技術を活用して安全運転を支援するシステムが車両に搭載され、急速な技術革新の下、最新の電子部品や装置が採用されています。このため、自動車の検査や点検・整備の際にもOBDを活用することが欠かせないことから、自動車の電子化への対応が重要となっています。加えて、継続検査OSS(ワンストップサービス)の更なる利用促進につながる自動車検査証の電子化が導入され、自動車だけでなく検査・登録や点検・整備制度、事務手続きなどについても急速な電子化への対応が進められています。
 このような整備業界を取り巻く環境下にあって、自動車の整備技術の高度化に向けた対応や、一層厳しさが増している少子高齢化の影響で後継者難や若年労働者の採用難への対応も同時に求められ、整備業界は引き続き厳しい状況にあります。

 このように、整備業界が抱える課題は山積しておりますが、日整連・整商連としましては、自動車ユーザーの皆様が安全で快適にクルマをお使いいただくためのお手伝いをするという、整備業界としての社会的役割を十分に果たせるよう活動していくとともに、急激に進む自動車の新技術への対応、継続検査OSSの利用促進、OBD検査、自動車検査証の電子化などへの対応に加え、整備士の人材不足や後継者難への対応を整備事業者の健全な経営の徹底を図りつつ取り組み、将来に向けて業界の持続的な繁栄を目指し、業界全体の活性化と経営基盤の確立に取り組んで参る所存であります。

 日整連の取り組みの一端を申し述べます。
 業界振興・活性化対策については、「自動車整備業のビジョンⅡ」に示されている整備事業者の取り組みを引き続き推進するとともに、整備作業の工数の明確化とそれに見合った適正な料金の収受方策を検討し、自社の経営状況を簡易に自己診断できる「経営自己診断システム」を活用した適正なレバーレートの設定等、整備事業者にその必要性の周知を行い、健全な経営の実践を推進します。また、令和7年度に新たに構築しました、点検・整備委託先を自動車ユーザーのニーズに応じて検索可能な整備工場検索システムの内容を充実させるとともに自動車ユーザーの利用促進を図っていきます。
 整備士確保対策については、職場体験の実施推進等による自動車整備の仕事のPR、二種養成施設のPR活動に加え、小学生以下を対象とした自動車整備士体験ツールをイベント等で活用して自動車整備士の仕事をPRするなど、国土交通省及び「自動車整備人材確保・育成推進協議会」と連携を図りつつ、自動車整備に携わる人材の確保・育成対策を進めて参ります。
 業界健全化対策については、指定整備事業者における厳正かつ公正な事業運営の徹底を図るとともに、不正改造車の排除の徹底を図って参ります。また、令和6年から導入されましたOBD検査の円滑な実施のための情報収集に努め、その周知徹底を図って参ります。
 法制・税制対策については、自動車整備事業の喫緊の課題克服に関する要望や税制改正等要望の実現に向け、積極的に活動して参ります。
 ICT化促進対策については、登録情報処理機関として電子保安基準適合証システムを円滑に運用するとともに、自動車情報利活用促進協会が運用する申請共同利用システムを活用した継続検査OSS代理申請業務について、円滑な運用及び利用率の向上に努めて参ります。
 環境保全・省資源対策については、国の方針に基づいて新たに策定した温室効果ガス削減の数値目標の達成に向けた地球温暖化防止対策に係る整備業界の対応方策を検討するとともに、リサイクル・リユース部品の利用促進を図って参ります。
 自動車使用者対策については、国土交通省が実施主体となる「自動車点検整備推進運動」に参画し、同運動の一環として「マイカー点検キャンペーン」を実施して参ります。また、前検査車両対策について、点検・整備の必要性や点検・整備を実施しないことの危険性等を説明した自動車ユーザー向け啓発用資料等の活用を推進し周知して参ります。
 整備技術の向上対策については、整備主任者技術研修の一層の充実を図り、スキャンツール基本、応用、ステップアップ研修及びフォローアップ研修を含む再教育を推進することにより、自動車の電子制御装置などの新技術への対応力の向上を図って参ります。また、第25回全日本自動車整備技能競技大会を開催し、整備士の技能の向上を促し、整備業界の技術力強化の姿勢を広く社会に発信して参ります。
 自動車整備技能試験への対応については、各試験を各地方委員会の協力を得て厳正かつ公正に実施するとともに、自動車整備技術に対して専門性・技能を有し即戦力となる外国人の受け入れ・就労を目的とした自動車整備分野特定技能評価試験について、試験の確実な実施と国外試験実施国の拡大等について検討を進め、円滑な実施に努めて参ります。

 一方、整商連におきましては、「これからの商工組合事業のあり方に関する新たな提言」を進めるために策定した「商工組合事業推進計画」を基に、組合員の事業の改善発展、また公正な経済活動の機会の確保を目指して、日整連及び各組合と密接に連携しつつ業界の近代化を促進し、経営基盤を強固にしていくため、経営支援事業、情報収集・提供事業、調査・研究事業等の諸事業を積極的に推進して参ります。
 経営支援事業の人材養成事業については、商工組合及び振興会の事務局職員の資質向上を図るために、ステップ別教育として新人職員、管理職員を対象とした研修会を実施して参ります。
 業界振興・活性化対策については、日整連事業への協力及び大変革期に対応した整備事業のあり方の検討を行うとともに、整備作業の工数の明確化とそれに見合った適正料金の収受や整備人材の確保に係る方策などについて日整連と協力して検討を進めて参ります。また、事業承継支援対策を推進するための方策として、事業承継マニュアルの活用促進を図るとともに、М&Aに係る紹介・連携事業を推進して参ります。
 加えて、自動車整備業の活性化方策の活用推進のため、具体的な取り組みを実施している地域、整備事業者への取材を引き続き行い、事例の収集を図って参ります。さらに、認定経営革新等支援機関として、生産性の向上等を目指す整備事業者のために、経営力向上計画及び先端設備等導入計画の策定に関して、地方各商工組合等と連携してサポートするとともに事例の収集・紹介等を行って参ります。
 情報収集・提供事業については、当会と組合事務局との電子情報(デジタルデバイス情報等)化の推進、活性化を図るとともに、関係法令、自動車整備関係諸情報の収集・提供を促進して参ります。
調査・研究事業については、受発注システムの円滑な運用に努めるとともに、同システムの改良及び適用品目の拡充等、活用の推進を図って参ります。また、「外国人材の受入制度に係る監理団体・登録支援機関との連携」については、引き続き調査・研究を進めて参ります。
 商工組合事業のあり方に関する新たな提言については、「新提言に基づく事業推進計画」の実施状況に係る調査結果を踏まえ、更なる事業推進方策に係る検討を行って参ります。
 自動車整備近代化資金については、引き続き「残存求償権処理要領」等に基づく自動車整備近代化資金残存求償権の適正な回収及び整理に努めて参ります。
 共同経済事業対策については、各組合との意見交換を通じて組合の実態把握に努め、購販担当ブロック代表者会議を活用して組合の組織力とスケールメリットを生かしつつ、共同購買、出版及び代行等の諸事業を推進して参ります。
 共同購買事業については、整備事業運営に必要な油脂、機器、用品等の全国展開できる新商品及び新事業の開発に加え、品質の良い商品を安価に継続的、安定的に供給することに努めるとともに、整備事業者の課題とされる自動車新技術に対応する機器やOSS関連ツールなどについて、指定工場におけるOBD検査及び認証工場におけるOBD確認や点検整備手法の多様化に対応するためのスキャンツール及びVCI(車両通信インターフェース)の供給に努めるほか、OSSの普及・促進への対応として開発した楽楽OSSについて、電子自動車検査証の車検証閲覧アプリとのシステム間でのデータの連携(API連携)による入力作業の効率化を図るなど、利便性の向上と利用拡大に努めて参ります。
 ETC及びETC2.0車載器セットアップ登録店の募集と適正な運営の推進については、新たなセットアップシステムの円滑な運用の推進に協力するとともに、新規登録店の募集及びセットアップ業務の適正な運用に努めて参ります。
 組織運営対策については、大規模災害等を踏まえたBCP(事業継続計画)について日整連と共同して適切な実施体制を確保に努めて参ります。

 以上、本年の取り組みの一端を申し上げましたが、日整連・整商連としましては、業界全体の活性化と継続的な繁栄のため諸事業を推進して参りますので、会員・組合員の皆様には本年も当会事業に一層のご理解とご協力をお願い致しますとともに、関係ご当局をはじめ関係各位のご指導並びにご支援を切にお願い致しまして、年頭のご挨拶と致します。