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お知らせ(詳細)

平成31年 日整連・整商連会長 年頭所感

2019年01月01日


一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会
日本自動車整備商工組合連合会
会 長  竹 林 武 一 

 新年あけましておめでとうございます。
 平成31年の新春を迎えるに当たり、所感の一端を述べ、新年のご挨拶とさせていただきます。

 我が国の経済状況を見ますと、堅調な伸びで景気回復が続いており、平成24年から続く景気拡大期間は、戦後最長のいざなみ景気に並ぶ長さになろうとしています。企業では「長時間労働の是正」等の労働条件の改善に結び付く取り組みが行われ、多くの産業では就業者数は増加しましたが、一部の業種においては人手不足が深刻化し、事業活動への影響が生じるようになりました。また、昨年は豪雨や度重なる台風の上陸による洪水や高潮、地震による自然災害も多く、経済活動にも影響が及んだ年でもありました。

 世界経済を見ますと、中国等の一部の国で成長率の鈍化の可能性があるものの、米国を中心として回復が続いています。その一方では、貿易戦争に繋がる米国の保護主義的な通商政策によるリスクや、追加関税の発動による我が国の輸出への影響が懸念されています。また、中東諸国の紛争や朝鮮半島の核問題に関しても不透明な要因があり、引続き不確実な状態が続くのではないかと憂慮されています。

 このような中で本年は、所得増加を背景とした個人消費の持ち直し、設備投資の増加、五輪向け需要の盛り上がりを受けて景気回復は続くと期待されています。今まで政府が進めてきた経済・財政一体改革の推進を確実に進めていただくとともに、本年10月に予定されている消費税率の引き上げに当たっての景気への配慮が望まれます。

 自動車については、安全運転を支援するシステムを装備した車両が増加しており、自動運転では地域を限定した実証実験等も行われ、実用化に向けての取り組みが急速に進んでいます。継続検査ワンストップサービス(継続検査OSS)の更なる利用促進のための自動車検査証の電子化や、継続検査時にOBDを使った検査方法への変更、高度に進展した自動車の電子化に対応するための分解整備の定義の見直し等の検討が始まり、自動車の電子化は自動車本体のみならず、自動車の検査整備制度等にまで及び、新たな制度への対応など大きな変革期を迎えています。

 整備業界においては、急速に進む自動車の高度化に対応した整備技術の習得や、少子高齢化の進展による厳しい採用状況が課題となっており、急激に変化する事業環境に対応できる業界となることが求められています。

 のように、整備業界が抱える課題は山積しておりますが、日整連・整商連としましては、自動車ユーザーの皆様が安全で快適にクルマをお使いいただくためのお手伝いをするという、整備事業としての社会的役割を十分に果たせるよう、平成30年11月に国土交通省に提出した「自動車整備業の喫緊の課題克服に関する要望」の実現に向け、活動を展開していくとともに、業界全体の活性化と経営基盤の確立に取り組んで参る所存であります。

 日整連の取り組みの一端を申し述べます。
 業界振興・活性化につきましては、「自動車整備業のビジョンⅡ」で示された整備事業者の取り組みを引き続き推進するとともに、新しい自動車整備業のビジョンについて検討を開始します。また、今後一層厳しくなることが予想される整備士の確保に向けて、関係機関・団体と連携して人材確保・育成対策を推進します。
 業界健全化につきましては、巡回指導マニュアルを活用した巡回指導を推進するとともに、不正改造車の排除の徹底を図って参ります。
 法制・税制につきましては、自動車関係諸税の負担軽減に向けた要望活動等を積極的に展開して参ります。
ICT(情報通信技術)の促進につきましては、継続検査OSSにおける登録情報処理機関として電子保安基準適合証システムを運用するとともに、計画されている軽自動車の継続検査OSSへの対応を図ります。また、FAINESの円滑な運用を維持するとともに、情報内容の充実を図り、会員の加入増加に努めて参ります。
 環境保全や省資源につきましては、国の方針に基づいて策定した
CO2削減目標に基づき地球温暖化防止への対応を進めるとともに、リサイクル・リユース部品の利用促進を図って参ります。
 自動車使用者に向けた点検整備の実施率向上につきましては、国土交通省が実施主体となる「自動車点検整備推進運動」に参画し、同運動の一環として、「マイカー点検キャンペーン」を実施します。また、前検査後に整備を実施しないことの危険性や、点検整備の必要性等を説明したパンフレットを作成するとともに、You Tubeを利用した啓発活動を引き続き展開して参ります。
 整備技術の向上につきましては、整備主任者技術研修の一層の充実を図り、自動車の電子制御装置など新技術への対応力向上のために、「スキャンツール基本、応用、ステップアップ研修」を推進するとともに、本年11月には第22回全日本自動車整備技能競技大会を開催し、業界の技術力強化の姿勢を広く社会に発信いたします。
 さらに、自動車整備技術を通じた国際貢献や海外事業展開への支援等を目的とした外国人技能実習制度における技能評価試験や、政府が進めている外国人労働者の新たな在留資格への対応を進め、また、自動車整備技能登録試験を各地方委員会の協力を得て厳正かつ公正に実施して参ります。

 一方、整商連におきましては、「これからの商工組合事業のあり方に関する新たな提言」を進めるために策定した「商工組合事業推進計画」を基に、組合員の事業の改善発展、また公正な経済活動の機会の確保を目指して、日整連及び各組合と密接に連携し経営支援事業、情報収集・提供事業、調査・研究事業等を推進して参ります。
 経営支援事業の人材養成事業につきましては、実務研修として本年度初めて開催する自動車整備事業者等に対するプレゼンテーション能力の向上を目標としたデジタルデバイス活用研修を継続的に実施し、職員のスキルアップに努めて参ります。
 業界振興・活性化対策につきましては、日整連事業への協力に加え、事業承継方策の収集及び普及啓発、「売上を伸ばすためのサービスメニュー提案書Ⅱ」並びに「改訂版安全整備作業の手びき」の活用推進を図ります。
また、自動車整備業の活性化方策の活用推進のため、具体的な取り組みを実施している地域、整備事業者への取材を行い、事例の収集・発信をして参ります。
 さらに、認定を受けました経営革新等支援機関として、生産性の向上等を目指す自動車整備事業者のために、地方各商工組合等と連携して経営力向上計画の策定サポートに当るとともに、好事例の収集・紹介を行います。
調査・研究事業につきましては、外国人労働者の新たな在留資格への対応について日整連と連携し、検討を進めて参ります。
 自動車整備近代化資金につきましては、自動車整備近代化資金残存求償権の適正な回収及び整理に努めるとともに、各組合からの相談等に対応します。
 共同購買事業につきましては、整備事業運営に必要な油脂、機器、用品等の全国展開できる新商品及び新事業の開発に加え、品質の良い商品を安価に継続的、安定的に供給することに努めるとともに、整備事業者の課題とされる自動車新技術に対応する機器や、OSS関連ツールなどについて情報収集を行いつつ、取り扱いの検討を進めます。
 共済制度につきましては、「共済制度活用検討会」を開催し、普及・啓発活動の検討を行い、引き続き各種共済制度の普及に努めて参ります。
 ETC及びETC2.0車載器セットアップ登録店の募集と適正な運営の推進につきましては、新規登録店の募集を引き続き行うと共にセットアップ業務の適正な運用に努めて参ります。

 以上、本年の取り組みの一端を申し上げましたが、日整連・整商連としましては、業界全体の活性化と継続的な繁栄のため諸事業を推進して参りますので、会員・組合員の皆様には本年も当会事業に一層のご理解とご協力をお願い致しますとともに、関係ご当局をはじめ関係各位のご指導並びにご支援を切にお願い致しまして、年頭のご挨拶と致します。