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お知らせ(詳細)

令和6年 日整連・整商連会長 年頭所感

2024年01月01日



一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会
日本自動車整備商工組合連合会
会 長  竹 林 武 一 



 新年あけましておめでとうございます。
 令和6年の新春を迎えるに当たり、所感の一端を述べ、新年のご挨拶とさせていただきます。

 世界の経済状況は、新型コロナウイルスのパンデミックとロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長引いている影響から、世界経済の回復は企業や家計などの経済部門間や各国地域間に格差が拡大する中で減速しつつあります。また、近年の世界情勢は、米中対立やロシアのウクライナ侵攻、中東パレスチナ自治区ガザにおける戦闘など国家間対立が激しくなっており、地政学的な目的のために経済を手段として使うことで世界経済への悪化が懸念され、国際秩序の維持・強化、世界規模での気候変動や災害問題の克服、エネルギー・食糧問題など、世界的な課題に対する果断な対応と国際協調が一層求められています。

 我が国の経済に目を転じてみますと、海外経済の回復が減速している中、そうした影響を受けつつも供給制約の影響の緩和に支えられて、企業収益は全体として高水準で推移し、業況感は緩やかに改善されました。また、実質国内総生産は新型コロナ危機前の状況に回復しましたが、個人消費は新型コロナ5類移行を受けてサービス消費の回復が続いたものの、食料品などの物価上昇が財消費の足かせとなりました。その中において政府は、我が国が直面する「時代の転換点」とも言える内外の歴史的・構造的な変化と課題に向けて、令和5年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」に基づき、我が国を取り巻く環境変化に対応した経済社会の変革を進め、社会課題の解決に向けた取り組みそれ自体を成長のエンジンに変えることで、持続可能で包摂的な社会を構築し、裾野の広い成長と適切な分配が相互に好循環をもたらす「成長と分配の好循環」を目指すことが示されました。
 そして、国内の景気は、雇用・賃金の増加を背景に個人消費の増加基調が維持されることや、アフターコロナ期に移行するにあたっての企業の前向きな設備投資の増加が景気を押し上げる原動力となり、海外経済が回復基調に転じ、物価上昇圧力が落ち着くことで、緩やかな景気回復基調が維持される見込みとされています。

 自動車については、急速な技術革新が進んでおり、少子高齢化社会における交通手段の確保や交通事故の削減を図るため、先進技術を活用して安全運転を支援するシステムや限定した環境下において自動運転を行うシステムが車両に搭載され、最新の電子部品や装置が採用されています。このため、自動車の検査や点検・整備の際にもOBDを活用することが欠かせないことなど、自動車のデジタル化への対応が重要となっています。加えて、継続検査ワンストップサービス(以下、「継続検査OSS」という。)の更なる利用促進につながる自動車検査証の電子化の導入が開始されるなど、自動車本体のみならず、自動車の検査・登録や点検・整備制度などについても急速なデジタル化への対応が進められています。

 このような整備業界を取り巻く環境下にあって、自動車の整備技術の高度化に向けた対応や、一層厳しさが増している少子高齢化の影響で後継者難や若年労働者の採用難への対応も同時に求められ、整備業界は引き続き厳しい状況にあります。

 このように、整備業界が抱える課題は山積しておりますが、日整連・整商連としましては、自動車ユーザーの皆様が安全で快適にクルマをお使いいただくためのお手伝いをするという、整備業界としての社会的役割を十分に果たせるよう活動していくとともに、急激に進む自動車の新技術への対応、継続検査OSSの利用促進、OBD検査、自動車検査証の電子化などのデジタル化への対応等に加え、自動車整備士の人材不足や後継者難への対応を、整備事業者の健全な経営の徹底を図りつつ進め、将来に向けて業界の持続的な繁栄を目指し、業界全体の活性化と経営基盤の確立に取り組んで参る所存であります。

 日整連の取り組みの一端を申し述べます。
 業界振興・活性化対策につきましては、「自動車整備業のビジョンⅡ」に示されました整備事業者の取り組みを引き続き推進するとともに、自社の経営状況を簡易に自己診断できる「経営自己診断システム」を活用した適正なレバーレートの設定等、整備事業者にその必要性の周知を行い、健全な経営の実践を推進します。また、新たに点検・整備委託先を自動車ユーザーのニーズに応じて検索可能な整備工場検索システムを構築し自動車ユーザーの利用促進を行うとともに、人材確保、新技術、生産性等の経営基盤強化に積極的に取り組んでいる事業場の好事例調査を実施し公表します。
 整備士確保対策につきましては、職場体験の実施推進等による自動車整備の仕事のPR、二種養成施設のPR活動に加え、全国のファミリーレストランにおいて、テーブルステッカー広告を実施し、中高生をターゲットに自動車整備士のPRをするなど、国土交通省及び「自動車整備人材確保・育成推進協議会」と連携を図りつつ、自動車整備に携わる人材の確保・育成対策を進めていきます。
 業界健全化対策につきましては、指定整備事業者における厳正かつ公正な事業運営の徹底を図るとともに、不正改造車の排除の徹底を図って参ります。また、今年から導入するOBD検査の円滑な実施のための情報収集に努め、その周知徹底を図って参ります。
 法制・税制対策につきましては、自動車整備事業の喫緊の課題克服に関する要望や税制改正等要望の実現に向け、積極的に展開して参ります。
 ICT化促進対策につきましては、継続検査OSSにおける登録情報処理機関として電子保安基準適合証システムを円滑に運用するとともに、電子自動車検査証に係る継続検査OSS及び記録等事務委託制度の運用に対応し、継続検査OSS全体の利用促進を図って参ります。
 環境保全・省資源対策につきましては、国の方針に基づいて新たに策定した温室効果ガス削減の数値目標の達成に向けた地球温暖化防止対策に係る整備業界の対応方策を検討するとともに、リサイクル・リユース部品の利用促進を図って参ります。
 自動車使用者対策につきましては、国土交通省が実施主体となる「自動車点検整備推進運動」に参画し、同運動の一環として「マイカー点検キャンペーン」を実施します。また、前検査車両対策としまして、点検・整備の必要性や点検・整備を実施しないことの危険性等を説明した自動車ユーザー向け啓発用資料等を作成します。
 整備技術の向上対策につきましては、整備主任者技術研修の一層の充実を図り、スキャンツール基本、応用、ステップアップ研修及びフォローアップ研修を含む再教育を推進することにより、自動車の電子制御装置など新技術への対応力の向上を図って参ります。また、第24回全日本自動車整備技能競技大会を開催し、整備士の技能の向上を促し、業界の技術力強化の姿勢を広く社会に発信して参ります。
 自動車整備技能試験対策につきましては、各試験を各地方委員会の協力を得て厳正かつ公正に実施するとともに、自動車整備技術に対して専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れて就労を目的とした自動車整備分野特定技能評価試験について、試験の確実な実施と国外試験実施国の拡大等について検討を進め、円滑な実施に努めて参ります。

 一方、整商連におきましては、「これからの商工組合事業のあり方に関する新たな提言」を進めるために策定した「商工組合事業推進計画」を基に、組合員の事業の改善発展、また公正な経済活動の機会の確保を目指して、日整連及び各組合と密接に連携しつつ業界の近代化を促進し、経営基盤を強固にしていくため、経営支援事業、情報収集・提供事業、調査・研究事業等の諸事業を積極的に推進して参ります。
 経営支援事業の人材養成事業につきましては、商工組合及び振興会の事務局職員の資質向上を図るために、ステップ別教育として新人職員、管理職員を対象とした研修会を実施して参ります。
 業界振興・活性化対策につきましては、日整連事業への協力及び大変革期に対応した整備事業のあり方の検討を行うとともに、適正料金の収受や整備人材の確保に係る方策などについて日整連と協力して検討を進めて参ります。また、事業承継支援対策を推進するための方策として、信金キャピタル株式会社と提携したM&Aに係る紹介・連携事業を実施して参ります。
 なお、自動車整備業の活性化方策の活用推進のため、引続き地域、整備事業者の取組について取材を行い事例の収集を図って参ります。さらに、経営革新等支援機関として、生産性の向上等を目指す自動車整備事業者のために、関係補助金等の申請に関して、地方各商工組合等と連携してサポートを行って参ります。
 情報収集・提供事業につきましては、当会と組合事務局との電子情報(デジタルデバイス情報等)化の推進、活性化を図るとともに、関係法令、自動車整備関係諸情報の収集・提供を促進して参ります。
 調査・研究事業につきましては、受発注システムの改善を検討し、適用品目の拡充に努める等、活用の推進を図るとともに、「外国人材の受入制度に係る監理団体・登録支援機関との連携」について、引続き調査・研究を進めて参ります。
 商工組合事業のあり方に関する新たな提言につきましては、「新提言に基づく事業推進計画」の実施状況を踏まえ事業計画を推進して参ります。
 自動車整備近代化資金につきましては、引続き残存求償権の適正な回収及び整理に努めて参ります。
 共同経済事業対策につきましては、各組合の実態把握に努め、購販担当ブロック代表者会議を活用して組合の組織力とスケールメリットを生かしつつ諸事業を推進して参ります。
 また、OSSの普及・促進への対応として、株式会社ベルティスと連携して開発した楽楽OSSについて、利便性の向上を図りつつ利用拡大に努めて参ります。
 ETC及びETC2.0車載器セットアップ登録店の募集と適正な運営の推進につきましては、引続きセットアップ業務統括責任者研修を実施するとともに、各組合によるETCセットアップ登録店主任者講習会の実施を推進して参ります。
 さらに、大規模災害等を踏まえたBCP(事業継続計画)については、日整連と共同して適切な実施体制の確保に努めて参ります。

 以上、本年の取り組みの一端を申し上げましたが、日整連・整商連としましては、業界全体の活性化と継続的な繁栄のため諸事業を推進して参りますので、会員・組合員の皆様には本年も当会事業に一層のご理解とご協力をお願い致しますとともに、関係ご当局をはじめ関係各位のご指導並びにご支援を切にお願い致しまして、年頭のご挨拶と致します。